コラムを書いた人
助政桂多
トレーナーズラボ第7期生の助政桂多です。
こんにちは、パーソナルトレーナーの助政桂多です。
今回からVOL.1〜2に分けて生理学についてお話いたします。
まず生理学とは何か?調べてみますと
人体を構成する各要素(それは組織、器官であったり細胞であったりする)がどのような活動を行っているかを解き明かす学問である
これだけ聞くと??ってなりますよね。私もそもそも言葉は聞いたことはありましたが、詳しい内容までは知りませんでした。
生理学を簡単に説明しますと、【人間のガソリンの作られ方】ということができます。
これからお話する内容は、当てずっぽうや個人の経験則とかいう話のものではありません。
エビデンス「科学的根拠」に基づいた内容でお話の展開をしていきますので、安心してお読み頂けらと思います。つまり人間はこうなんですという流れのものです。
そこで自問自答します。パーソナルトレーナーに生理学は必要か否か…
私は必要だと思います!
生理学を学ぶ事により、人体の各部がどのように働き、どのような仕組みで人間が生きているのかを知ることができます。
呼吸器系や循環器系の仕組み、代謝のメカニズムや内分泌系の働きなど、さまざまな生理現象を理解した上でないと正しいダイエット指導、ボディメイクは行えないと考えているからです。
また、生理学を理解することで、効果的なトレーニングプログラムを作成することが出来ます。➡これ非常に重要です!
例えば、筋トレの目的によって、どれくらいの重量や回数で実施するのが最適かの判断が出来るようになります。
つまり、お客様のボディメイクを成功に導くための大切な要素になりますよね。生理学を熟知したパーソナルトレーナーを選ぶことが、どれだけ大切なことかをご理解いただけたのではないでしょうか。
そこで今回はボディメイクやダイエットに役立つ生理学の知識をまとめてみました。最後までお付き合い頂けると幸いです。
まず、身体を動かすにはにはエネルギーが必要です。
そのため人間は、三大栄養素である食物(炭水化物、タンパク質、脂質)を生体内で利用可能なエネルギーに変換する機能が備わっています。
代謝とは、①物質を分解してエネルギーを獲得する、②エネルギーを使って物質を合成する、という2つのことを指します。
①異化作用とは
大きな分子を小さい分子に分解すること
これに伴ってエネルギーが放出される➡カタボリックのこと
例)人(動物)は食べたもの(有機物)を分解してエネルギーを得る
②同化作用とは
小さな分子を大きい分子に合成すること➡アナボリックのこと
例)植物は水、二酸化炭素の無機物を材料にして日光などのエネルギーを利用し有機物を合成する
この2つの作用をまとめて代謝と言います。
また、異化作用によって三大栄養素から作り出されたエネルギー体をATP(アデノシン三リン酸)と言います。
ATPとは
ATPとは”アデノシン三リン酸”の略で、A(アデノシン)という物質に
P(リン酸基)が3つ結合したものをいいます。※ATPのTはTri=3という意味
これが人間のガソリンとなる物です。
ATPが使われるとADP(アデノシン二リン酸)に変化します。※ADPのDはDi=2という意味
その際にエネルギーを放出します。
このエネルギーを使って筋の収縮が行われます。
ATPは主に筋肉(横紋筋・平滑筋・心筋)で使われます。筋細胞にATPを貯蔵できる量にも限界があるので、激しい運動では短時間で使い果たしてしまいます。
継続的に筋活動を行うためにはATPの再合成が必要になります。
ATPを再合成するための方法が3つあります。それが次の3つです。
①ホスファゲン機構・・・ATPとクレアチンリン酸を使用する
②解糖系機構・・・炭水化物(糖質)使用する
③酸化系機構・・・炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質を使用する
私は分かりやすくこの3つの機構のことをガソリンホースと呼んでいます。
このガソリンホースは運動強度によって100%使われ方が決まります。その次に運動の継続時間で決まります。
それぞれ次の項目で詳しくお伝え致します。
運動をする時はエネルギー源であるATPからエネルギーを供給します。
しかしATPは貯蔵されている量が少ないため、すぐに無くなってしまいます。
ですからATPを再合成することが必要になるのですが、そんなATPの再合成をする機構の一つがホスファゲン機構です。
そんなホスファゲン機構は、
・短時間で高強度の運動時
・運動の開始時(強度は関係ない)
という場合に使われる機構で、ATPを再合成します。
この機構で大事になってくるのはクレアチンリン酸です。
クレアチンリン酸はATP同様に高エネルギーリン酸化合物になり、クレアチンキナーゼ(補酵素)によりクレアチンとリン酸に分解され、この分解反応に伴い高エネルギーを放出し、ATPの再合成に利用される仕組み。
つまり、このクレアチンリン酸を使ってATPを再合成するシステムがホスファゲン機構という事になります!
《ホストファゲン機構が使用される運動強度と継続時間》
【ホスファゲン機構(無酸素系)】
継続時間 0〜6秒
運動強度 非常にキツイ
ホストファゲン機構が使用される時間は非常に短いです。そのため、ホストファゲン機構だけではATPの再合成を賄う事ができないので他にも二つの機構が存在しております。
解糖系機構は、筋に蓄えられたグリコーゲンまたは血中にあるグルコースといった炭水化物をピルビン酸や乳酸に分解してATPを作り出します。
解糖系には、「速い解糖」と「遅い解糖」の2つのルートが存在します。
「速い解糖」は、最終産生物質であるピルビン酸を乳酸へと変換します。
「遅い解糖」は、ピルビン酸をミトコンドリアで運び、「酸化機構」のもとでエネルギーになります。※遅い解糖系は有酸素性代謝機構になります
細胞内に酸素が十分あれば、乳酸を貯めずに、「遅い解糖」が利用されます。「乳酸」は血液を介して肝臓に輸送され、グルコースに変換され、エネルギーとして再利用されます。
ちなみに「乳酸」といえば疲労物質というイメージがありますが、最近では、細胞中のpHが低下することが疲労の一因と考えられています。
《解糖系機構が使用される運動強度と継続時間》
【解糖系機構(無酸素系)】
※二つのルートに分かれる
・速い解糖
継続時間 6〜120秒
運動強度 かなりきつい・きつい
・遅い解糖
継続時間 2分〜3分
運動強度 普通
酸化機構は安静時と低強度の運動や有酸素運動中にATPを供給する機構であり、主に炭水化物、脂質、タンパク質の順で利用していきます。
タンパク質は通常頻繁には代謝さませんが、長い間飢餓状態と90分を超えるような長時間の運動では代謝され、安静時には、産生されるATPの約70%が脂質から、約30%が糖質から供給されます。
よって、基礎代謝が高いと、脂質の減少が期待できます。
そして、運動強度が上がるにつれて、脂質から炭水化物の割合が多くなります。
ただ、炭水化物が足りなくなれば、再び脂質やタンパク質が利用されるようになります。
「遅い解糖」のルートでピルビン酸がミトコンドリアに入ると、アセチルCoA(アセチルコエンザイムA)に変換されます。
また、アセチルCoAは、脂質やタンパク質の代謝からも作られます。
このアセチルCoAは「クエン酸回路」というサイクルに入ります。
このサイクルで作られたNADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とFADH2(フラビンアデニンジヌクレオチド)という分子を用いてATPが作られるという流れです。
以上の3つがATPを作る方法です。それぞれの運動強度や継続時間は以下の図も参照にしてみてください。
以上が、パーソナルトレーナーにとって必要な生理学の予備知識です。
統計的に学ぶには、専門のスクールやセミナーで学ぶことは大切なことだと実感しています。
次回は生理学を熟知したパーソナルトレーナーVOL.2です。
新糖生と運動強度、そして知っておくべきホルモンについてお話し致します。
今回も最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
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