コラムを書いた人
助政桂多
トレーナーズラボ第7期生の助政桂多です。
こんにちは。パーソナルトレーナーの助政桂多です。
今日は自己紹介コーナーの続きを書いていきたいと思います。
前回は消防士時代の話〜レスキュー隊員編のお話をさせて頂きました。まだの方はぜひご覧頂けると幸いです。
パイパーレスキュー隊って聞いたことありますか?なんとなく耳にしたことはあるけど、どんな部隊でどんな活動をしているのか、よくわからない方もいると思います。
26〜27歳の時に、約2年間勤務した時の実際のお話と、簡単な紹介をしていけたらと思います。最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
正式名称は消防救助機動部隊といいます。
1995年に発生した阪神・淡路大震災の教訓から、通常の消防部隊や資機材などでは、対応できなかった災害事象に、迅速的確に対処できるように配置された部隊です。
ハイパーレスキューは特別救助技術の資格や、救急救命士、大型重機免許や船舶免許など、特殊な技術・能力を有する隊員と、大型車両や特殊な救助資機材などを備え、多数の人命を早期に救助することを目的とした専門部隊です。
なお、ハイパーレスキューは、大規模災害だけでなく高層ビ ル・地下街の災害、航空機災害、船舶災害、土砂崩れ、 水害などへの対応や、一般の火災・救助活動も、消防署所の消防部隊と連携した、通常の消防活動も行っています。
https://www.youtube.com/embed/VagcI8GsyuM?rel=0
私が所属していた6本部ハイパーレスキューのYou Tube映像がありましたので、参考までに御覧ください。※私は映っておりませんのであしからずw
※これは特別救助隊の腕章をベースに、消防救助機動部隊の高度な技術をイメージするため下地を金色にし、帯は重機を表すフック付きワイヤーとなっています。
前回の自己紹介で、江戸川特別救助隊で2年半勤務したお話をしました。
日々火災や救助活動、訓練や体力錬成、その他事務作業など忙しい日々を過ごしていました。
そんなある年、日頃の勤務態度や高い救助技術と知識が認められ、異動が決まり、第六消防方面本部消防救助機動部隊(通称ハイパーレスキュー)へと転身しました。
このように所属推薦で異動する場合と、年1回の勤務評定で異動希望を書いて異動する場合の2パターンがあります。
将来ハイパーレスキュー隊員になりたいと思うのであれば、私と同じようにレスキュー隊の資格である特別救助技術研修を受け、資格取得後、所属で実績を積み、異動希望を出すルートが1番の近道だと思います。
この部隊は大規模災害や急流救助事象に対応するための、大型車両や大型重機、小型ボートや水上バイクなどもあり、私自身もハイパーレスキューに配属後、整地解体や小型移動式クレーン、2級小型船舶免許など、さまざまな資格を取得しました。
ですので、先にこういった資格などを取得しておくのも、アピールポイントになるので、ハイパーレスキューになりたい人は積極的に取得しましょう。
この写真は急流救助訓練で水上バイクを活用した時のものです。
河川上で助けを求めている要救助者を、水上バイクの後ろにくくりつけた浮き板に乗せて、迅速に救助することを想定しています。
私の所属していた第6方面のハイパーレスキューは、足立区の新田地区にあり、四方を隅田川と荒川に囲まれているため、河川への飛び込みや、豪雨による増水で流されたり、落水するなどした場合に、迅速に対応しなくてはいけません。
この時は冬の寒い時期での訓練だった記憶があります。服を着たまま着れるドライスーツとはいえ、流石に水も冷たくものすごく寒かったですね。
こちらは遠距離大量送水装備(送水車・ホース延長車)と言います。大経口150mmホースを1km積載しており、このように走行しながらのホース延長ができます。
震災時に発生する大規模な火災などに対応するため、遠方に位置する海及び河川から火災現場まで、長距離かつ大量に送水することが可能な車両です。
走行しながら延長できるので、非常に効率よく迅速に活動できるのはメリットですが、その分収納(後片付け)するのがものすごく大変で、車両の上に3人、道路上に2人、さらに運転手1人と安全管理1人、最低7人は必要なんですw
先程の車両から延長されたホースを、最大で毎分8,000Lの揚水が可能な水中ポンプを装備した送水車で圧力を高め水を送り、こちらの屈折放水塔車で放水します。
この屈折放水塔車は、最大地上高22mの二節ブーム式屈折放水塔を装備した車両です。高所火災、危険物火災など消防隊が容易に近づけない火災現場において、高所から効果的に注水及び泡放射を行います。
屈折放水塔車の毎分放水量が3,800Lですので、学校などの25メートルプールを満タンにすると422,000Lですので、約111分で満タンにできます。
通常の太めのパイプ管で満タンにするのに約12時間以上掛かる計算ですので、どれだけ大量に放水できるかが分かると思います。
またこの車両は、2011年(平成23年)3月11日に起きた、東日本大震災で、福島第一原子力発電所事故の冷却作業にあたった時に活躍した車両です。
皆さんニュースなどで何度か目にしているのではないでしょうか。
あの時写っていた車両と同じ形のものですね。https://www.youtube.com/embed/9gvKR37sM_g?rel=0
※当時のニュース映像です。緊迫感が伝わってきますね。
幸い私が配属されていた期間は、大きな災害もなく、こういった特殊車両が活躍することはありませんでした。
この写真は高所に取り残された要救助者を、斜めに張ったロープと担架を活用して、地上部分に救出する、訓練中の様子です。
1枚目の写真に映る車両は、私がメインに乗っていた救助車両です。通常時の火災や救助活動時にはこの車両で出場していました。後ろのシャッターやBOXには数十種類以上の救助資機材が積まれていて、そのすべての名称や用途、使用方法を熟知していました。
2枚目の写真は、緊急脱出といって救出時に使用したロープを活用して、地上部分に避難する技法です。
真ん中で垂直に降下している隊員が私です。座席懸垂といって、ロープとカラビナという器具のみで降下するんです。
実際この日は消防見学会の開放日で、子供や親御さんの大きな歓声が上がっていました。普通に嬉しかったですね!
最後の写真はハイパーレスキュー部隊の集合写真です。
1部隊20名で編成されており、全員救助や救急のスペシャリスト集団です。
この技術や知識だけでなく、意識や志の高い方々と一緒に勤務した2年間は、とても有意義で価値ある時間でした。
先程も話しましたが、幸い私個人で言えば、勤務した約2年間の間は、大きな災害に出場することもなく、実践的な経験はできませんでしたが、それでも何にも代えがたい、貴重な経験であったことには変わりありません。
この第6消防方面本部消防救助機動部隊(6HR)には、『屠龍技』(とりゅうぎ)と書かれた額縁が飾ってあります。
辞書で調べると「学んでも実際には役立たない技術」と出てきます。
ではなぜこんな言葉を飾っているのでしょうか。
それは、「救助の技」は常に磨き続けるが、『災害は起こらず無駄な努力に終わってほしい』という願いを込めた、部隊心得だからです。
諸説はこうです⬇
昔、中国の山奥に悪い龍が住みつき,時折現れては村人に害を為した。1人の青年が、その龍を屠る(ほふる)べく、「屠龍技」(龍を倒す技)を身につけるため精進する。
しかし、その後、龍は二度とその村に姿を現さなかったが、その者は、一生精進し続けた。村人の中には無駄なことをしたと笑う者もいた。
なぜこれが部隊の心得になったのか⬇
龍の出現の有無にかかわらず、屠龍の技を磨く。
但し現れたなら一撃のもとにこれを屠る(ほふる)。我々の目指すところである。災害に備えて常に訓練を重ねる。
何も無いことと、何もないようにしたこととは天地の差がある。
これが、私たち消防、そして六本部機動隊の心得である。
素敵な心得ですよね。私も当時この言葉に感銘を受けて、毎日訓練をして技術を磨いていました。結果、大きな災害はなかったですが、無駄なことではなかったと思います。
ハイパーレスキューを経験後は、消防人生最後の配属先となった深川消防署で、消防士長という階級で、隊の中心的なポジションである副隊長(1番員)も経験しました。
詳しい話は、前回の消防士時代の話〜レスキュー隊員編目次4,深川特別救助隊員時代〜救助大会編を御覧ください。
それから約2年後、19歳から30歳までの11年8ヶ月の間、長年勤めてきた東京消防庁を退庁しました。
消防人生は楽しい事よりも、人の命と向き合う時間が長いため、辛く悲しい事の方が多く、色々な意味で人として大きく成長できました。
また、人を思いやる気持ち、心に寄り添う大切さ、人に感謝されることの嬉しさ、仲間を信頼し人を頼ることの大切さなど、あげればキリがない程、心と体の成長ができた消防人生でした。
この11年8ヶ月の消防人生で身に付けた、人一倍努力する力や、最後まで決して諦めない気持ち、強い精神力と忍耐力、真の優しい心をこれからのパーソナルトレーナー人生に活かしていきたいです。
次回の自己紹介は「転換期とトレーニングとの出会い」をお送り致しますので、ぜひとも楽しみにお待ちくださると嬉しいです!
少し長くなりましたが、今回も最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。Instagramも頑張っていますので、ぜひ御覧ください。
TRAINER’S GYM(トレーナーズジム) 曙橋店で
オーナー兼トレーナーをしています。ホームページはこちら。
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