コラムを書いた人
小貫愛澄
トレーナーズラボ第3期生の小貫愛澄です。
パーソナルトレーナーにとって「生理学」は必要なのかについてです。
結論から言うと私はパーソナルトレーナーにとって生理学は必要であると言えます。それはなぜか、生理学は、自然で健康な状態の生物の体の中の機能やメカニズムを解き明かそうとする学問のことを指します。例えば、呼吸や消化、タンパク質の合成や分解など、考えてみるとほとんどのことが生理学に当てはまります。
そのため運動をする上で、ヒトの体を理解しておくことがとても重要と考えます。
今回の記事は生理学について紹介していきます。
異化作用:複雑な物質から単純な物質へと分解する反応のことを言います。異化ではエネルギーが放出されます。物質やエネルギーを使うと考えるとイメージしやすいと思います。
同化作用:単純な物質から複雑な物質へと合成する反応のことを言います。同化ではエネルギーが吸収されます。同化の言葉どうり、物質やエネルギーを自分の中に蓄えるイメージで考えてもらうといいと思います。
先ほど、エネルギーの放出・蓄えるイメージとお伝えしました。
実際エネルギーって何なの?ってなりますよね。
実は、エネルギーは生物体の中でATP(アデノシン三リン酸)と言われる形で蓄えられているのです!
「エネルギーの塊=ATP」と考えてもらった方がわかりやすいと思います。
体内の筋肉を分解して口から二酸化炭素や水蒸気を吐き出す代わりにエネルギーを得ていて、このエネルギーをATPというエネルギーの塊に合成して、ATPのエネルギーを使って運動するなど生命活動を行っていることを言います。
ATPとはエネルギーの貯金箱のようなもので、複雑なものを合成したり、生命活動を行ったりとエネルギーが必要な時に、貯金箱からエネルギーを取り出してきて使うというわけです。
そして、ATPのエネルギーがどんどん使われていくと、ATPは「ADP(アデノシン二リン酸)」というものに化けます。わかりやすくいうと、ADPは使い古しのATPってことになります。
となると、再びエネルギーが入ってきたり、筋肉が分解してエネルギーが生み出されたりするとADPはATPに生まれ変わります。
ATPはなくなることなく使われてはリサイクルされます。
・ホスファゲン機構
筋収縮を継続するには、ATPを分解してエネルギーを作り続けないといけないわけですが、分解ばかりだとATPは無くなってしまいます。なので分解作業と並行してATPを作る作業が必要になります。ATPを使う量と作る量のバランスが取れていると筋肉は動き続けるのですが使う量の方が多くなってしまうと、筋肉は動かなくなってしまいます。
そこでクレアチンリン酸が登場します。ATPから分解されてリン酸が少なくなったADPにクレアチンリン酸が持っているリン酸を分けます。そうすることによって、ADPは分けてもらったリン酸を取り込んでATPに戻る(再合成)ということになります。
このクレアチンリン酸を使ってATPを再合成することを「ホスファゲン機構」と言います。
ホスファゲン機構は短時間で高強度の身体活動のためのATPの主要な供給源
・解糖系機構
解糖系は筋に蓄えられたグリコーゲンあるいは血中に運ばれたグルコースといった炭水化物を分解し、ATPを生産します。
解糖系により供給されるATPは約2分以上続く高強度の激しい筋活動のためのATPの供給源として、最初から活動していたホスファゲン機構を補います。
解糖系は速い解糖と遅い解糖に分けられます。
速い解糖系は最終産生物質であるピルビン酸は乳酸へと変換され、遅い解糖系より速くエネルギー(ATP)を供給します。
遅い解糖系は軽い強度のエアロッビクダンスの開始時などのようにエネルギー供給がそれほど高くなく、かつ細胞内の酸素量が十分である場合には遅い解糖が使われます。
・酸化系機構
酸化系機構は安静時と有酸素運動中と主要なATPの源であり、基質として主に炭水化物と脂質を利用し、ヨガなどは主に酸化系機構からのエネルギーに依存しています。
タンパク質は通常、随所に代謝されないが長期の飢餓状態と90分以上の長時間の運動の時には代謝されます。安静時には、産生されるATPの約70%が脂質から、約30%が炭水化物から供給されます。
運動開始に伴い、運動強度が上がるにつれて多く使われる基質は脂質から炭水化物に変化し、高強度の有酸素運動時十分に供給が追いつくならば、ほとんど100%のエネルギーが炭水化物から供給されます。
糖新生とは脂質やアミノ酸など糖質以外の物質からグルコースを合成する代謝経路のことを言います。肝臓や腎臓で行われます。解糖系とはほぼ逆の反応で、ピルビン酸や乳酸などからグルコースが作られます。
ヒトの体の中の回路を知っておくことで運動する上でどんな時にどんな運動をするべきなのか理解することができます。
この運動している時はこの機構だなと理解しながらトレーニングすることでいつも以上に意識してトレーニングに打ち込むことができるかと思います。
生理学について少し触れましたが、少し触れただけでもパーソナルトレーナーにとって生理学はとても必要と言えます。
今回の記事はここまでです。
次回も生理学について紹介します。
パーソナルトレーナーにとって生理学とは【VOL・2】に続く