コラムを書いた人
白井達也
トレーナーズラボ第2期生の白井達也です。
パーソナルトレーナーに生理学の知識は必要なのか。
私が思うにパーソナルトレーナーに生理学はとても重要で、そもそも生理学とは、人体を構成する組織・器官であったり細胞がどのような活動を行っているのかということである。この知識はパーソナルトレーナーにとって確実に必要なことの1つである。
その中からトレーニング、ボディメイクに重要な生理学、身体でつくられるホルモンについていくつか紹介したいと思う。今回はパーソナルトレーナーに必要な生理学〜筋肥大とホルモンの関係〜をお伝えします。
筋肥大のメカニズム
成長ホルモン
テストステロン
インスリン
異化ホルモン
トレーニングなどで刺激を受けた筋肉は、筋線維の一部が破断される。その後、適切な栄養と休養をとることにより、傷ついた筋肉は修復される。このときに筋線維は刺激を受ける前よりも少し太くなって修復されるので、結果的に筋肉が大きくなる。これが筋肥大のメカニズムである。筋肥大を実現するための効果的な方法としてレジスタンス運動がある。レジスタンス運動とは要は筋トレのことである。
メカニズムについては上で述べたが、他にも筋肥大には成長ホルモンが重要な役割を果たしている。成長ホルモンにはたんぱく質を合成して筋肉をつける働きがある。成長ホルモン分泌のためには、回数を重ねて筋肉中のエネルギーを消費することが必要である。また、インターバルを短くしてぎりぎりまで血液中の酸素を消費し無酸素運動を行うことで、分泌の促進が期待できる。
成長ホルモンの他にも筋肉において同化作用をもたらすホルモンがある。それがテストステロンである。テストステロンと聞くとドーピングなどを思い浮かべるかもしれないが、テストステロンは自然に人間の身体の中でも分泌されるホルモンの1つである。そして健康な身体を維持するために重要な役割を果たしている。筋肉の合成、そして筋肉分解の抑制、また脂肪細胞増大の抑制などといった効果がある。男性ホルモンとも言われるが、女性もテストステロンを分泌している。だが血中テストステロン値で比べると、男性の5~10%と言われている。このことから女性は男性ほど筋肉が肥大しにくいことがわかる。
インスリンもホルモンの1つである。これはほとんどの人が1度は聞いたことがあると思う。実はこのインスリンが筋肥大に1番強力な作用をもたらす。ガッツリと食事をとることで、大量のインスリンが分泌される。そしてそのインスリンが食事で摂取した糖質やアミノ酸を筋細胞内に送り込む作用をもっている。デカくなりたければ食え、と言われるのはこういう理由なのである。またインスリンはグリコーゲンの合成時にも活躍し、回復を促進する作用もある。だがインスリンにはデメリットもあり、糖質やアミノ酸を筋細胞内に送り込むだけでなく、脂肪酸を脂肪細胞に送り込み、体脂肪を増やす働きもあるということだ。
上で紹介したいくつかのホルモンは同化ホルモンであり、筋肉や脂肪などの組織を新しく合成する作用を持つ。同化と逆の働きになるのが異化である。異化とは組織が分解され、壊されることをいう。人間にはこのような作用を持つホルモンも存在する。その代表的なものがコルチゾールである。コルチゾールは早朝に高くなる。起床後30〜60分の間に大量に分泌され次第に低下していく。筋肉においては「同化>異化」となれば、筋肉が増えることになるが、逆に「異化>同化」となれば、筋肉は落ちていくことになる。
お客様の身体を変えていくのに、これらホルモンの作用などトレーナーとして知っている必要がある。