パーソナルトレーナーと栄養学VOL.1

こんにちは!柳田智之です。

今回は栄養学についてお話しをします。

栄養学とは『食品の持つ栄養素や、その働きについて研究する学問』と表されています。

現代の日本は長寿国家、また高齢化社会として人口の三割以上が65歳以上であり、世界ランキング一位を走っています。

そんな世の中で私たちパーソナルトレーナーは多くの方々に健康と運動をご案内していき
最後の最期まで元気に過ごしていただきたい、そのためには運動だけではなく栄養学などについての知識も必須だと考えます。

運動、栄養、休養の三点がボディメイクやダイエットに必須とされています。
栄養学は三点の栄養にあたりますね。

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目次

  1. 五大栄養素
  2. -タンパク質
  3. -必須アミノ酸(9種類)
  4. -非必須アミノ酸(11種類)
  5. -EAAとBCAA
  6. -EAA
  7. -BCAA
  8. -脂質
  9. -脂質の種類
  10. -良い油と悪い油

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五大栄養素

五大栄養素とはタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの総称のことでそれぞれが体にとって大事な役割を持っています。

この中でタンパク質、脂質、炭水化物(糖質)の三つの栄養素を三大栄養素と呼びます。

-タンパク質

タンパク質の摂取推奨量は体重の1~1.5倍程度とされています。

タンパク質はメインのエネルギー源として使用されるというよりも
ホルモンの材料などとして使用されます。

タンパク質は9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸で構成されており
様々な消化酵素の働きによって最小単位のアミノ酸に分解され、血液と共に全身に運ばれ、筋肉を初めとして髪の毛や骨などを構成します。

タンパク質を構成している20種類の内の9種類は体内で作り出すことができないため、バランスのよい食事から補給する必要があるのです。

タンパク質の効果を手助けする食材を何点かご紹介します。

マグロやカツオ、鶏ささみなどビタミンB6を含む食材の他
ピーマン、ブロッコリー、果物類などビタミンCを含む食材をタンパク質と同時に摂取
することで効率よく合成することができます。

-必須アミノ酸(9種類)

ロイシン-肝機能向上、筋肉強化、アジやレバー等
バリン-成長促進、筋肉強化、牛肉やレバー
リジン-組織の修復、肉や魚、大豆製品
ヒスチジン-神経機能の補助、魚類
スレオニン-脂肪蓄積の抑制、成長促進、卵やゼラチン
メチオニン-解毒作用、牛乳、チーズ、レバー
イソロイシン-神経の働きや筋肉の強化、牛乳、牛肉
フェニルアラニン-ドーパミンなどの材料、血圧上昇、魚介、卵
トリプトファン-セロトニンの材料、免疫向上、チーズ、アーモンド、バナナ

-非必須アミノ酸(11種類)

グリシン-ヘモグロビンの材料で解毒作用を持つ
アラニン-肝臓のエネルギー源
セリン-肌の水分量を保つ、リン脂質の材料
グルタミン-体脂肪代謝、免疫向上、筋肉の分解抑制
アルギニン-成長ホルモン合成、体脂肪燃焼、疲労回復
システイン-シミ、肌荒れの改善、エネルギー産生をサポート
チロシン-ドーパミンやアドレナリンの材料
プロリン-コラーゲンの主要成分、脂肪燃焼効果
グルタミン酸-脳の活性化、疲労回復、集中力増加
アスパラギン-アンモニアの排出、持久力向上、新陳代謝の促進
アスパラギン酸-疲労物質の乳酸をエネルギーに変える

-EAAとBCAA

アミノ酸20種について紹介しましたが、全てを食事から意識して摂取することはとても難しいと思います。

そんな時にEAAやBCAAといった言葉を聞いたことはありませんか?

フィットネス業界において多くの方が利用しているアミノ酸サプリメントです!

朝のアミノ酸補給やトレーニング前のコンディションを強化するのに最適です。


-EAA

EAAには必須アミノ酸9種類が含まれています。

摂取することでトレーニング時の筋肉の疲労を軽減すると同時に筋肥大にも影響があります。

また朝起床後に摂取することで異化作用を軽減し、筋肉の保護にも役立ちます。

肉体に多くの利点をもたらすEAAですが、一度に飲みすぎてしまうと下痢を起こす可能性があります。

販売されているものにはタブレットタイプと粉末タイプがあり、トレーニング時に活用する方には粉末タイプを、普段から常用される方にはタブレットタイプがおススメです。

-BCAA

BCAAとは分岐鎖アミノ酸-Branch-Chain-Amino-Acidの略であり、バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類を含んでいます。

3種類なら9種全て含んでいるEAAがいいんじゃないの?と思う方もいるかと思いますが少しだけ利用目的が違うのです。

EAAと違いBCAAは筋肉の分解抑制効果のあるアミノ酸をメインで含んでいますのでトレーニング前後の筋肉合成を目的としている方に利用されます。


-脂質

脂質は第二のエネルギー源と言われ、脳や細胞膜も脂質で構成されています。
臓器の保護や寒さから体を守る他脂溶性ビタミンの吸収をうながす役割があります。

脂質が不足してくると便秘や疲労感、体温の低下による免疫力の低下を引き起こします。
しかし摂取が過剰になると肥満や動脈硬化などの原因にもなります。

脂質は三大栄養素のなかで一番エネルギー量が高く、1gあたり9kcalあり、良質なエネルギーとされています。

-脂質の種類

脂質の種類は大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。

飽和脂肪酸とは肉や乳製品、チョコレート、ココナッツなどに多く含まれ
常温において個体である。

エネルギーとして使われやすい反面過剰摂取になりやすく、健康面にデメリットがある。

摂り過ぎると、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪を増やし、心疾患のリスクを高めます。

短鎖脂肪酸-バター
中鎖脂肪酸-ココナッツオイル、MCTオイル
長鎖脂肪酸-肉

不飽和脂肪酸とは植物性食品や魚、大豆油などに多く含まれ主に常温で液体の脂質で、一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸に分けられます。

多価不飽和脂肪酸-オメガ3脂肪酸(リノレン酸)、オメガ6脂肪酸(リノール酸)に分類される

リノレン酸やリノール酸は体内では合成できない必須脂肪酸と呼ばれ食品から摂る必要があります。

リノレン酸-亜麻仁油、えごま油、魚油、ひまわり油など
リノール酸-大豆油、コーン油、サラダ油など

酸化しやすい油で摂取しすぎると善玉コレステロールを減らしてしまうため注意が必要。

一価不飽和脂肪酸-オメガ9脂肪酸(オレイン酸)と呼ばれ、体内で合成が可能。

酸化しにくく悪玉コレステロールを減らす働きがある。

オレイン酸-オリーブオイル、菜種油、ナッツなど

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-良い油と悪い油

・良い油

オメガ3脂肪酸-(えごま油、亜麻仁油、魚油-DHA、EPA)

オメガ9脂肪酸-(オリーブオイル、こめ油)130度以上でトランス脂肪酸になるため注意が必要。

中鎖脂肪酸-(ココナッツオイル、MCTオイル)MCTオイルは加熱NG


・悪い油

オメガ6脂肪酸-(マヨネーズ、スナック菓子)

動物性脂肪酸-(肉類、脂身、卵、生クリームなどのコレステロール)脂の少ない赤身がおススメ。

酸化した油-(使いまわした油、コンビニのFFなど)体内も酸化してしまう。

トランス脂肪酸-(人工油、マーガリン、ショートニング、菓子パン)

トランス脂肪酸は最も注意が必要で植物性油脂に水素を添加し固めたものです。

健康に対するデメリットが多く、アメリカでは2018年から禁止されています。
更に代謝の際にビタミン、ミネラルを消費する他悪玉コレステロールの増加や心臓疾患のリスクを高める恐れがあるとされています。

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-炭水化物(糖質)

炭水化物とは食物繊維と糖質の総称のことで、エネルギーとして利用されるのは糖質です。

1gあたり4kcalあり商品の成分表示を見る際には炭水化物(糖質10g、炭水化物3g)と表示されていますので糖質のみを意識するといいですね。

糖質はグリコーゲンとして肝臓や筋中に貯蔵され普段の生活やトレーニング時に利用されています。

糖質の欠乏がおきると低血糖症になることがあります、初めてケトジェニックなどを始めた人が陥りやすいためパーソナルトレーナーはしっかりご案内する必要がありますね。

逆に過剰になった時には脂肪として蓄えられ肥満になりやすいです。
また生活習慣病のリスクもあるため過剰摂取してしまった人にはお食事や運動のご案内が必要になってきます。

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-糖質に含まれる糖類について

炭水化物の糖質の中には糖類(単糖類、二糖類)、小糖類(オリゴ糖)、多糖類(デンプン、グリコーゲン、デキストリン)、人工甘味料(アルテルパーム、アセスルファムK)などに分けられます。

アミノ酸などからも糖は作られる。

単糖類-1つの糖で存在している最小単位の糖。

ブドウ糖(グルコース)
果糖(フルクトース)
ガラクトース

ブドウ糖は身体活動に必要なエネルギー源で、一日の活動には120gのブドウ糖が必要と言われています。

しかしブドウ糖は体内に貯蓄ができませんので、食事から取り入れる必要があります。

体内にエネルギーを届け、筋肉を正常に動かす機能も持っています。

穀物や果物に多く含まれ体内に不足すると集中力の低下や思考能力の低下に繋がります。

ブドウ糖は血液内に入るため過剰に摂取をしてしまうと高血糖のリスクが高まり、肥満の危険性もあります。

果糖は果物やはちみつに多く含まれています、特徴として砂糖の1.2~1.5倍の甘さがあり最も水に溶けやすいです。

主に肝臓で代謝され血糖値の上昇を抑えますが、満腹中枢に働かないため過剰摂取による肥満のリスクが存在します。

二糖類-単糖が2つ結合している糖

乳糖(ラクトース)
ショ糖(スクロース)
麦芽糖(マルトース)

乳糖は牛乳から精製して作られます、牛乳などを飲んだ時にお腹を下す人はこの乳糖が原因の乳糖不耐症である可能性があります。

ショ糖はブドウ糖と果糖が結合したもので砂糖の主成分です。

サトウキビやテンサイに多く含まれており、過剰摂取には注意が必要です。

麦芽糖はブドウ糖2つが結合した物質で水あめの主成分として利用されています。
砂糖の3割程度の甘味を持ち、すっきりした味わいをしています。


小糖類-単糖が3個~9個結合したもの、水に溶けやすい

マルトオリゴ糖
イソマルトオリゴ糖
フラクトオリゴ糖

オリゴ糖は吸収されにくく、ダイエットに利用されることが多いです。
その他、腸内細菌のエサになり便秘改善にも効果があります。

多糖類-数多くの単糖が結合したもの、水に溶けにくい

デンプン
グリコーゲン
デキストリン

多糖類の代表はお米やもち米で加熱することで粘りがでる特徴があります。

人工甘味料-化学的に作られた甘味料、合成甘味料や糖アルコールと呼ばれる。
アステルパーム
アセルスファムK
スクラロース
サッカリン

カロリーの少ない甘味料として砂糖の代わりに利用されています。

全ての人工甘味料のカロリーが0というわけではありませんが、ほぼ全てに
砂糖の200倍程度の甘味があるため低カロリーを実現できます。

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-GI値

糖質とGI値は切っても切れない関係です。

GI値はグリセミックインデックスの略で食材の血糖値の上昇度を表す指数のことです。

GI値の高いものほど血糖値が上がりやすく、低い食べ物は上がりにくいのです。

低GI値の食品を選び、血糖値の上昇を緩やかにする意識をすることでインスリンの分泌を抑え、脂肪の合成を防ぐことができます。

見分け方としまして茶色い食べ物という言葉が有名ですね。

例えば、玄米、もち麦、全粒粉、ライ麦、十割蕎麦などがあります。


食物繊維には便のかさましによる便秘予防や血糖値の上昇を抑制、脂質の吸収を抑える効果があり、日常において多くのメリットがあります。

食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられバランスよく摂取する必要があります。

偏った摂取をしてしまうと便秘を誘発してしまうことがあります。

見分け方として水溶性がネバネバしている食材と繊維質な食材で大まかに分けられます。

一日の摂取目安としまして男性は20g以上、女性は18gとされています。

糖質や脂質などと違い、摂取量を抑えるよりも積極的な摂取が推奨されています。

テレビや広告などではレタス1玉分の食物繊維という言葉を目にしますが、レタス1玉に含まれる食物繊維は4g程度、効率よく摂取するためにはキノコや海藻類をお勧めします。

水溶性食物繊維-水に溶けやすく、便通を良くしたり柔らかくする効果があります。

更に糖質の吸収を緩やかにして血糖値の上昇を抑えることができます。

普段の食事に積極的に取り入れることで肥満の予防をはじめ、脂質、血圧、血管系の生活習慣病の予防につながります。


不溶性食物繊維-水に溶けにくく、水分を吸収して膨らむため便のかさまし効果があります。便のかさが増えると大腸に刺激が入り排便を促します。また腸を綺麗にする整腸作用がある。

-食物繊維を多く含む食品

・水溶性食物繊維-昆布、わかめ、ひじき、なめこ、果物、里いも、大麦、オーツ麦など

・不溶性食物繊維-穀類、ほうれん草、タケノコ、ごぼう、豆類、キノコ類、果実、海藻など

ビタミンの種類と多く含んでいる食品png-1024x865を拡大表示


-ビタミンとミネラル

ビタミンには水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンの2つに分けられます。


脂溶性ビタミン

ビタミンA-視力や皮膚、粘膜を健康にする他抗がん作用も。ウナギやレバー

ビタミンD-カルシウムの吸収促進、テストステロンの材料。きのこや乳製品

ビタミンE-紫外線から保護、抗酸化作用、赤血球の保護。ごまやアーモンド

ビタミンK-カルシウムの結合促進、血液凝固成分。豆類

水溶性ビタミン

ビタミンB1-炭水化物の代謝、不足しやすい。豚肉、果物、豆

ビタミンB2-脂質代謝を促す。納豆、レバー、卵、乳製品、魚介類

ビタミンB6-アミノ酸の再合成、肌荒れ対策。魚、ささみ、豆、野菜類

ビタミンB12-赤血球の合成促進。魚介、肉、乳製品、卵

ビタミンC-皮膚、骨、血管、筋肉を強化、抗酸化作用。じゃがいも、緑黄色野菜

ナイアシン-三大栄養素の代謝、アルコール代謝。きのこ類、米ぬか、魚介類

パントテン酸-三大栄養素の代謝。乳製品、レバー、卵、肉、野菜

ビオチン-三大栄養素の代謝。魚介、肉、卵、野菜類

葉酸-赤血球の合成、妊娠中の女性に重要。豆、野菜類

ビタミンは栄養素の代謝を円滑に進める役目を持ち、脂肪燃焼や筋肉の増加など重要な役割を担っているため、必要量を食品から摂取する必要があります。

ミネラルは多量ミネラルと微量ミネラルに分けられます。

ミネラルは骨や歯のもとになる他、臓器や細胞のサポートに役立っています。


多量ミネラル

リン-カルシウムと結合し骨や歯の主成分となる、細胞膜を構成。肉、卵、魚介

カリウム-水分量の調整、筋肉の働きを正常に保つ。魚介、野菜、果物

カルシウム-歯や骨の主成分、神経伝達や筋収縮を正常に保つ。乳製品、魚、野菜

ナトリウム-体内の水分調整。塩、梅干し、明太子

マグネシウム-骨や歯の形成に必要。魚介、豆、緑黄色野菜


微量ミネラル

-酵素の活性化、活性酸素の除去。魚介、レバー、豆

-血液に酸素を乗せて全身に運ぶ。魚介、肉、レバー、豆

亜鉛-タンパク質の合成、酵素やホルモンの構成成分。牡蠣、魚介、肉

ヨウ素-甲状腺ホルモンの構成、基礎代謝の促進。魚介、豆

クロム-糖尿病予防、インスリンの効率促進。肉、魚介

セレン-抗酸化作用、甲状腺ホルモンの活性化。魚介、肉、卵

マンガン-酵素の活性化。魚介類、豆

モリブデン-老廃物の排泄、尿素の代謝。レバー、豆

-まとめ

今回は栄養学について簡単にまとめてみました。

普段耳にしたことのある言葉を少し掘り下げるだけでこれだけ細分化されていることがわかりました。

糖質や脂質の種類やビタミン、ミネラルの役割を知ることでボディメイクや日常生活に彩をもたらすことができるはずです。


次回はパーソナルトレーナーと栄養学VOL.2です。タンパク質やサプリメントについてお話していきます。

柳田智之

コラムを書いた人
柳田智之

トレーナーズラボ第15期生の柳田智之です。

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