パーソナルトレーナーと生理学の関係性VOL.2

こんにちは!柳田智之です。

前回は摂取した食物が人の中でどのように変換されているのか
簡単に紹介しました。

今回はATPを合成する機構と、それぞれの機構が活動するタイミング等
を紹介していきます。

目次

  1. -三大エネルギー産生機構
  2. -ホスファゲン機構(無酸素性機構)
  3. -解糖系機構(無酸素性機構)
  4. -酸化系機構(有酸素制機構)
  5. -運動強度によるエネルギー機構の移り変わり
  6. -ホルモンについて
  7. -インスリン
  8. -インスリンと脂肪
  9. -炭水化物とたんぱく質
  10. -その他吸収速度の遅らせるもの

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-三大エネルギー産生機構

人の体の中には大きく分けて三つのエネルギー機構があります。
それぞれ機構が活用されるタイミングは運動強度運動継続時間によって
分けられています。

ペールグリーン グリッド ミニマリスト ペーパークリップ 一般 メモ (1)を拡大表示

-ホスファゲン機構(無酸素性機構)

ATPの再合成の速度は最も早いが量は最も少ない機構。
筋中のクレアチンがATPから分離したリン酸と結合してクレアチンリン酸となり、ADPにリン酸を与えることでATPに再合成する。
酸素の消費を必要としない嫌気的代謝である。

注意点として反応したクレアチンリン酸から残ったクレアチンは
血中に貯まり健康診断にて注意項目に出る他、痛風の原因ともなるため
対策として多くの水の摂取を勧めています。

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-解糖系機構(無酸素性機構)

ATPの合成速度は中程度、生産量も中程度の機構。
筋中に貯蔵されている糖質【炭水化物】すなわちグリコーゲンをピルビン酸といわれる有機酸に分解し肉体のエネルギーへとする。
短い期間で体を追い込むような運動を行うと乳酸が生成され
成長ホルモンが分泌、体脂肪燃焼が促進されます。

無酸素と有酸素両方の面を持つ最も体脂肪燃焼に適した機構です。

筋に蓄えられたグリコーゲンやグルコースといった炭水化物をピルビン酸や乳酸に分解してATPを作り出します。

グリコーゲンは肝臓と筋に貯蔵され、筋グリコーゲンと肝グリコーゲンと呼ばれる。
体重60㎏の人で肝臓に100g、筋に300gが貯蔵されています。
一般的な筋肉量での数値なので筋肉が少ない人ほど体脂肪になりやすい。

解糖系は速い解糖遅い解糖に分けられ、速い解糖は糖の最終産生物質であるピルビン酸を乳酸へと変換します。
遅い解糖はピルビン酸をミトコンドリアが輸送し、酸化機構のもとでエネルギーになります。

-酸化系機構(有酸素制機構)

低強度の運動時(長距離走など)や安静時にATPを供給するための機構
合成速度は最も遅いが生産量は最も多い。
ピルビン酸や脂肪が分解し有利脂肪酸から生成されたアセチルCoAがミトコンドリア内でTCA回路【トリカルボン酸回路】に取り込まれ複雑な過程を得て処理される。
その後電子伝達系に入り酸素を使う好気的呼吸として多くのATPが合成される。
瞬間的なエネルギー供給には不向きで、長時間の運動に向いている。

-運動強度によるエネルギー機構の移り変わり

運動の継続時間     運動強度       エネルギー機構
  0~6秒      非常にきつい     ホスファゲン機構

  6~30秒       かなりきつい     ホスファゲン機構
                       速い解糖

  30秒~2分        きつい       速い解糖

  2~3分          普通         遅い解糖
                        酸化機構

  3分以上        軽い         酸化機構

高重量のベンチプレスなどを行う際にはホスファゲン機構が利用され
ランニングや長距離走などには酸化機構が利用される。

以上のことから活動時間が伸びるほど無酸素性機構から有酸素性機構へと推移していくことがわかる。

-ホルモンについて

人体にはボディメイクに関するホルモンが多く存在します。
最も関係のあるものを数種類紹介します。

-インスリン

インスリンは血糖値を下げる、血糖をコントロールする物であるという話は
耳にしたことがあると思います。

その通りで糖の代謝に関与するホルモンとなっています。
炭水化物を摂取した際、膵臓のランゲルハンス島と言われる場所のβ細胞から分泌され、余分な炭水化物を肝臓や筋肉に運び、貯蔵されます。

これらの貯蔵された物を筋グリコーゲンと言いトレーニングのエネルギーとして使用されるのです。

このグリコーゲンが枯渇してしまうと体は筋肉(アミノ酸)を燃料として使い始めてしまいます。
そのため強度の高いトレーニングをする際には適度の炭水化物摂取が必須となってくるのです。

筋肉の発達のためにはハードなトレーニングも重要ですが、短時間で運動を終えしっかりと食事を摂ることが重要となってきます。

-インスリンと脂肪

インスリンは筋肉へのエネルギー供給、貯蓄に使われるという話をしましたが、いくら大事とは言っても摂りすぎればそれは脂肪となって蓄積されてしまいます。

体脂肪が増加するとエストロゲンというホルモンが分泌され、更なる体脂肪の蓄積が促されてしまい、そして脂肪が増えるほどインスリンは脂肪への栄養運搬に力を入れ始めてしまう悪循環に陥ってしまうのです。

炭水化物は摂取のタイミングをしっかりと把握することが大事になります
朝食にある程度の量を摂り、次に多く摂取すべきなのはトレーニングの後が良いでしょう。なぜならトレーニング後は筋肉内のグリコーゲンが減少しているため、この時だけは筋肉への運搬が優先されるからです。

-炭水化物とたんぱく質

炭水化物ばかりの食事をしていると内蔵から大量のインスリンが分泌され
超過した分の炭水化物を脂肪として蓄積してしまいます。

しかし、炭水化物を摂取する際にたんぱく質を一緒に食べることで、たんぱく質がグルコースの吸収を抑制することができ、インスリンの分泌を抑制することができるのです。

-その他吸収速度の遅らせるもの

まず第一にGI値(グリセミック・インデックス)の低いものを選ぶことです。GI値とは食後血糖値の上昇度を示す指標のことで、低いものほど吸収スピードが遅く、血糖値の上がりにくいものとなっています。

-白米の代わりに玄米や大麦など、パンであれば全粒粉のもの。

食事の順番である程度コントロールすることも可能です。
野菜→肉、魚→主食の順番で食べることで速度を抑えることができます。

そのほかにはオメガ3脂肪酸などもおススメです、主に魚類。

-グルカゴン

グルカゴンはインスリンと同じく膵臓から分泌され、血糖を上昇させる効果があります。
主に空腹を感じた際に糖新生と言われる現象を誘発させます。

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-糖新生

低血糖時、主に空腹時にグルカゴンが起こす現象で体に足りない糖を
筋肉(アミノ酸)や脂肪を分解することで生成しようとする現象です。

断食ダイエットをしている人や、極端に食事量の少ない人
その他に長時間運動している人にも起こる現象です。

対策は空腹である時間をつくらない、具体的には分割食を実践する。
一日三食であれば一食を半分にして六食分として取り入れたり
間食を取り入れることで防ぐことが可能です。

-テストステロン

男性ホルモンとも呼ばれ、成長ホルモンの分泌を促進させ筋肉の発達や
精神的モチベーションの向上に役立ちます。

-テストステロンの濃度を上昇させるには

大筋群を使ったエクササイズや高負荷のエクササイズをすることで分泌される。
女性も分泌されるが男性のおおよそ20分の1程度しか分泌されない。

-コルチゾール

ストレスを感じることで分泌されることからストレスホルモンと呼ばれています。
飢餓状態においては糖新生を促進させ、睡眠時にエネルギーがなくなると
それを検知、交感神経を刺激して血圧を上昇させます。
これにより人は目覚めるわけですね。

アミノ酸から糖を合成することでカタボリックが発生するため
起床後は早期の食事やプロテイン摂取が大事になってきます。

-まとめ

前回に比べ今回の記事は3,000文字を超える長文となってしまいました!
最後まで見てくださりありがとうございます!

今回はボディメイクとインスリンの関係についてお話ししました。
今回の記事を書くにあたっていくつかの資料をもとに作成しましたが
知識の再確認を行えたことが一番の収穫であったかと思います。

次回は栄養学を記事にしていこうと思います!今回と重複する点もあるかと思いますがお付き合いよろしくお願いいたします!

柳田智之

コラムを書いた人
柳田智之

トレーナーズラボ第15期生の柳田智之です。

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