ボディメイクの効率を上げる〜パーソナルトレーナーの視点(生理学『VOL.2』)

みなさん、こんにちは。

 前回、生理学の基本的なことを書きましたが、次はボディメイクと生理学の関係について詳しく書いていきたいと思います。


 ダイエットやボディメイクをする際に特に重要なのが”食事・運動・休息”です。

 食事制限ダイエット(ケトジェニック等)が流行っていたりしますが、もしやるにしても生理学の知識をもってやることが大事ではないかと個人的に思います。

目次

  1. ■ボディメイクに関わるホルモンについて
  2. ■ホルモン①グルカゴン
  3. ■ホルモン②インスリン
  4. ■ホルモン③成長ホルモン
  5. ■ホルモン④女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)
  6. ■ホルモン⑤コルチゾール
  7. ■ホルモン⑥甲状腺ホルモン
  8. ■まとめ

■ボディメイクに関わるホルモンについて


 ここではダイエットやボディメイクに関わるホルモンの種類と働きについてのお話をしていきます。

 6つのホルモン(①グルカゴン②インスリン③成長ホルモン④女性ホルモン⑤コルチゾール⑥甲状腺ホルモン)について説明していきたいと思います。

■ホルモン①グルカゴン

膵臓のβ細胞で作られ、低血糖を起こさないように血糖をコントロールする。
糖新生を誘発する

糖新生って何?と思いますよね。説明してまいります。

糖新生とは・・
糖以外の物質(乳酸、トリグリセリド、アミノ酸(筋肉))からグルコース(糖)を生産する手段・経路のこと。

 つまり、糖質が枯渇すると炭水化物以外の物質から糖質を作り出す働きがあり筋肉を分解して糖を作り出します。

せっかく鍛えた筋肉を分解されてしまうんです。

では糖新生は、どういう時におきるのでしょうか。
 ①長期の飢餓状態
 ②90分以上の運動

皆さんは、お腹が空いていたのに我慢してたらお腹の減りがなくなっていた。という経験はないでしょうか?

画像5を拡大表示


 まさに”①長期の飢餓状態”で糖新生が起こり筋肉から栄養が摂られてお腹の減りがおさまった可能性があります。
 筋肉を減らしたくない場合は上記の①と②が起きないように意識することが大切になってきます。

ホルモン②インスリン

 インスリンは糖質と深い関係があり、体内に糖質が入ると血糖値が上がってしまうためそれを下げようとインスリンが働きかけます。

 膵臓のβ細胞で作られる血糖値を下げる唯一のホルモンで、血糖値を下げる以外に脂肪の合成を促進させる作用があります。

画像5を拡大表示


 脂肪の合成を促進!!

 そうです、この作用があるためボディメイクやダイエットにおいてインスリンの過剰分泌を避けたいわけです。

 なのでダイエットされている方は糖質制限をしたり、GI値の低い食べ物を食べるようにしてインスリンの過剰分泌をさせないように心がけていたりします。

 しかし糖質制限をして完全に炭水化物(糖)を抜くことがいいことではありません。

 インスリンはボディメイクにおいて悪者扱いされがちですがトレーニングをする場合において適度な炭水化物(糖)を摂取してインスリンの分泌をうまく活用したほうがいいです。

 トレーニングにおいて炭水化物(糖)が枯渇すると筋肉の材料となるタンパク質を分解してしまうため炭水化物(糖質)を摂取することで、体内のタンパク質から栄養を摂られにくくする効果があります。

 そのほか、トレーニングする時も炭水化物(糖)を摂って十分なエネルギー源を蓄えた状態でやることが最大限の力発揮や集中力の向上につながるため適度に炭水化物(糖)を摂取したほうがいいです。

 また、トレーニング直後にタンパク質とともに炭水化物(糖)を合わせて摂取すると筋グリコーゲンの回復を促せるため必要となります。

■ホルモン③成長ホルモン

下垂体前葉から分泌されるタンパク質
脂肪分解の促進

 この成長ホルモンは脂肪分解を促進してくれるためダイエットにおいて非常にありがたいホルモンになります。

 成長ホルモンが分泌されやすいタイミングがありますので、以下でお話しします。

 生理学『VOL.1』で解糖系機構という言葉を説明しましたが、この機構を使っている時に成長ホルモンが分泌されます。

(お時間あれば『VOL.1』も読んでみてください)

 そのため解糖系機構でのトレーニングすることが脂肪燃焼させる上では効率がいいということになります。

 分泌されやすい時間帯というものもあります。

 時間帯は22時〜2時に一番分泌されます。

 この時間帯は就寝するようにすると体脂肪減少や疲労回復に役立ちます。

■ホルモン④女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)

画像1を拡大表示

 女性はエストロゲン・プロゲステロンの周期を繰り返します。月経と連動し一定の周期でそれぞれの分泌量のバランスを変化させています。

 以下は、エストロゲンとプロゲステロンの特徴になります。

エストロゲン(卵胞ホルモン)
・自律神経を活発にし、体調をととのえて、気持ちを安定させる
・女性らしい体つきを作る
・血流をよくしたり、真皮のコラーゲンを増やして、肌に潤いやハリを出す
・更年期を過ぎて老年期を迎えると、エルトロゲンの分泌はほとんどなくなる

プロゲステロン(黄体ホルモン)
・体温を上げる作用がある
・血行が悪くなる
・抗うつ状態を作りやすくなる
・体に栄養や水分を備えるため、むくんだり太りやすくなる。
・「腸の蠕動運動を抑制」するというものがあり便秘になりやすくなる

 女性ホルモンはわずかな期間でホルモン分泌が変化するので体調の変化が起こりやすい(プロゲステロンが急激に変動する排卵後から次の生理までは、不調を感じやすい)と言われています。

 また、女性ホルモンの分泌のリズムが乱れると、生理不順も起こりやすくなってしまいます。

 生理不順の影響として疲労やストレスによるものが多いと言われていますので過度なダイエット等、あまりストレスを溜め込まないようにすることも大事になります。

ホルモン⑤コルチゾール

 別名ストレスホルモンと呼ばれ、ストレスが高まるにつれて分泌量も増えます。

スクリーンショット 2020-07-30 0.15.12を拡大表示

(コルチゾールの働き)
脂肪の合成を促進
タンパク質合成の抑制
筋力の低下
アミノ酸を糖質へ変換刺激

 上記に記載したような働きがあるためボディメイクやダイエットしている時はできるだけストレスを溜めずにコルチゾールをできるだけ分泌しないようにする努力が必要です。

 とはいえ、今の時代ストレス社会と言われる時代ですのでなかなかストレスなく過ごすことって難しいですよね。

 その中でもストレスを溜め過ぎないように自分の好きなことをしたり一人になる時間を作ってゆっくり休む等してリフレッシュ時間を設けていきましょう。

■ホルモン⑥甲状腺ホルモン

画像3を拡大表示

 甲状腺から分泌され、全身の細胞に働きかけて新陳代謝を活発にする働きがあり脂肪や糖分を燃焼させてくれる働きがあります。

 甲状腺ホルモンは分泌量が多過ぎても少な過ぎてもよくない影響があるため甲状腺刺激ホルモンで分泌量を一定に保つよう働きかけています。

 分泌量が一定でない場合どのような影響があるか見ていきましょう。

(分泌が高すぎると)
・疲れやすくなる
・下痢をしやすくなる
・汗をよくかくようになる
・イライラする

(分泌が少なすぎると)
・疲れやすくなる
・便秘がちになる
・冷え性になる
・食欲の低下
・あまり食べてないのに体重増加

 このように甲状腺ホルモンは一定の分泌量でないとネガティブな影響が起きてしまうということがあります。


■まとめ

 いかがでしたでしょうか?

 生理学を『VOL.1』『VOL.2』とお伝えしてきましたが、知っていると効率がよくボディメイクができる内容だと思いますので、ぜひご活用ください。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

及川雄太

コラムを書いた人
及川雄太

トレーナーズラボ第3期生の及川雄太です。