コラムを書いた人
茅野宏志郎
トレーナーズラボ第6期生の茅野宏志郎です。
こんにちは!パーソナルトレーナーの茅野です!
前回は栄養学、とりわけ糖質について解説させていただきました。
フルーツの危険性や、摂るべき糖質と減らすべき糖質の存在など、かなり身近で実用的な内容だったと思います。
今回も、そんな実用的な知識を提供できたらと思っています。
今回は前回の予告の通り、脂質とたんぱく質についてお話させていただきます。
ぜひ、自らの血肉として吸収して、日常生活に活かしてください!
脂質の主な役割は以下の通りです。
・糖質の次に利用されるエネルギー源
・脂溶性ビタミン(A,D,E,K)の吸収促進
・体温の保持
脂肪の元と言われ、嫌厭されがちな脂質ですが、上記のようなメリットもあります。
特に、幼児や子どもに重要で、脂質が足りないと発達障害を始めとした体の異常が出てしまいます。
これは、脳の構成成分の60%が脂質である事が関係しています。
脂質は、脳にある神経伝達細胞を構成しているため、不足すると各組織に情報がうまく伝達されなくなってしまいます。
そのため、認知症予防にも脂質は注目されています。
しかし、脂質には良い脂質と悪い脂質があります。
次項から、それらについて説明していきます。
悪い脂質は、
オメガ6・・・・・サラダ油、マヨネーズ、肉
トランス脂肪酸・・マーガリン、ショートニング
動物性脂肪酸・・・ラード、バター
が挙げられます。
オメガ6は、上記の他にスナック菓子にも多く含まれています。
オメガ6はプロスタグランジンE2という、発熱や炎症、アレルギー反応、生理痛などを助長させる物質の材料になります。
オメガ6は多くの食品に含まれているため、欠乏することはほとんど無く、過剰摂取が懸念されています。
トランス脂肪酸は植物性油脂に水素を添加して作られた脂肪酸です。
トランス脂肪酸は、心疾患のリスクを高めてしまう他、代謝に多くのビタミン・ミネラルを使用します。
そのため、農林水産省は一日の摂取量を約2g以下にするよう勧告しています。
動物性脂肪酸はその名の通り、動物の脂です。
肉や乳製品などに多く含まれており、コレステロールや中性脂肪を増やし、動脈硬化のリスクを高めます。
これらは過剰摂取が問題であるため、摂ってはいけないという訳ではありません。
しかしながら、現代の日本の食卓にはこれらが多く含まれています。
これを機に少し意識してみてください!
良い脂質は、
オメガ3・・・・魚油、亜麻仁油、ごま油
オメガ9・・・・アボカド、オリーブオイル、米油
中鎖脂肪酸・・・MCTオイル、ココナッツオイル
が挙げられます。
オメガ3は前述した、オメガ6のもたらす炎症などを抑える効果があります。
その他、脂肪の増加を防ぐ、動脈硬化、心疾患の予防、精神安定、便秘改善などの効果があり、圧倒的に健康に良い油であると言えます。
有名なドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)は、このオメガ3に含まれます。この二つはかなり酸化しやすいため、これらが含まれる魚は新鮮な時に食べることを推奨します。
オメガ9は熱に弱いという特徴があります。しかし健康への効果は大きく、悪玉コレステロールの低下や便秘改善、美肌効果といった効果があります。
オメガ9が多いオリーブオイルは、様々な料理に使用できるため、比較的摂取しやすい良質な油であると言えます。
中鎖脂肪酸の最大の特徴は、消化、吸収のしやすさです。
糖質が枯渇すると脂質がエネルギーとして使われます。そこで、この中鎖脂肪酸は代替エネルギーとして素早く使われ、さらに脂肪になりにくいという特徴があります。
朝食の代わりに、コーヒーにMCTオイルやココナッツオイルを混ぜたものを飲むダイエットが流行っていたこともありましたね。
注意点として、MCTオイルは消化が良すぎるが故に下痢の症状が出る場合があります。その場合は、中鎖脂肪酸がMCTオイルに比べて少ないココナッツオイルに変えることをオススメします。
良い脂質は、悪い脂質のデメリットを相殺するような効果があります。
日常で悪い脂質を摂らないことはほぼ不可能なので、その分良い脂質を多く摂ることを意識しましょう!
たんぱく質の主な役割は以下の通りです。
・体の組織を構成する。
・酵素やホルモンの材料
一般的に筋肉を作る栄養素として広く知られていますが、筋肉だけでなく人間の多くの組織の材料になっています。
実は、内臓や血管にも筋肉が存在しており、この事実からたんぱく質の重要性が理解できるかと思います。
たんぱく質が不足すると、睡眠障害や精神疾患、免疫不全につながります。
たんぱく質は9種の必須アミノ酸と11種の非必須アミノ酸が組み合わさり、その配列で種類が決定されます。
特に必須アミノ酸は、人間の体内で作られることがないため、きちんと摂取しなければなりません。
では、必須アミノ酸にはどんなものがあるのでしょうか。
必須アミノ酸は以下の通りです。
フェニルアラニン・・精神安定、血圧上昇
ロイシン・・・・・・肝機能向上、筋肉の強化
バリン・・・・・・・窒素バランスの調整、筋肉の強化
イソロイシン・・・・神経の働きの向上、血管、肝機能の向上
スレオニン・・・・・胃液の分泌、小腸の活性化
ヒスチジン・・・・・神経機能の補助、貧血改善
トリプトファン・・・セロトニン(幸せホルモン)分泌、免疫向上
リジン・・・・・・・糖の代謝促進、カルシウムの吸収促進
メチオニン・・・・・血中コレステロール値の調整、解毒作用
よく頭文字を取って「ふろばいすひとりじめ」で覚えられていますね。私もこれで覚えました(笑)
太文字が主な働きです。
中でも、バリン、ロイシン、イソロイシンの三つは分岐差アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、筋肉の構成に強く関わっています。
ご覧の通り、必須アミノ酸は健康に生きるために必要な要素ばかりです。
なので多く摂取する必要がありますが、たんぱく質が豊富な動物性の食品は、脂質も豊富なため注意が必要です。
ちなみに余談ですが、分岐差アミノ酸はセロトニンを抑える効果があります。そのため、セロトニンによる満足感、集中力の低下を抑制し、トレーニングを長く続けることができます。
しかしながら、セロトニンが抑制されると気分が高揚しやすいため、イライラしたり、落ち着かないなどの心の変化がある可能性があります。
また、心に体が着いて来ず、オーバートレーニングになってしまう恐れがありますので、BCAAドリンクを摂取する際には注意しましょう。
手軽にたんぱく質を摂取する方法の一つに、プロテイン(飲料)があります。
近年のプロテインは、たんぱく質を補給できるだけでなく、筋肉の合成を手助けするビタミンが豊富なものが多く、かなりの種類が店頭に並んでいます。
こんなに種類が多いと、どれを選んだ方がいいの?ってなると思います。
そこで、各プロテインの特徴を簡単に紹介します。
ホエイプロテイン・・・吸収が早い、筋肉の修復効果が高い、トレ後に
ソイプロテイン・・・・吸収が遅い、皮膚や骨を強くする、間食に
カゼインプロテイン・・吸収が遅い、運動しない日や就寝前に
このようにそれぞれ特徴が異なります。
よくお店で目にするのは基本的にホエイプロテインですね。
筋肉を少しでも大きく、とにかく大きくと考えている方以外はホエイで十分だと思います。
その上で、たんぱく質以外の栄養素(特にビタミン)、値段で決めるのがオススメです。
注意しなければいけないのは、プロテインはあくまで足りない栄養を手早く補給するサプリメントである、ということです。
たんぱく質の摂取をプロテインに頼るのは、化学物質の含有、噛む行為の減少による脳機能の低下などの面からオススメできません。
食事ではたんぱく質が足りない、筋トレの後にすぐに栄養を摂りたい、といった状況で飲むようにしましょう。
栄養補給は食事から、これが大切です!
PFCバランスとは、一日に摂取するエネルギーの内、Protein(たんぱく質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)というカロリーになる3つの栄養素の割合のことです。
1gあたり、たんぱく質と炭水化物は4kcal、脂質は9kcalです。
これを踏まえて、推奨されているPFCバランスは
たんぱく質:25%
脂質 :15%
炭水化物 :60%
です。過剰になったり、不足したりすると、体に不調が現れます。
おおよその目安として覚えておくのが吉です!
いかがでしたでしょうか。
脂質の良し悪しや、たんぱく質の役割など日常で活かせる知識が多かったのではないでしょうか。
栄養学を活かせるのはダイエットや筋トレをしている人のみではありません。
世界すべての人が活かせる学問、それが栄養学なんです。
知れば知るほど健康でいられる可能性が高まります。
前回と今回でお話しした内容は、栄養学のほんの一端です。
現代は学ぶ手段にあふれています。
これを機に、栄養学に触れてみるのはいかがでしょうか。
次回はケトジェニックについてお話していきたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
それではっ!