コラムを書いた人
西浦 龍
トレーナーズラボ第25期生の西浦 龍です。
NSCA(National Strength and Conditioning Association/全米ストレングス&コンディショニング協会)は、1978年にアメリカで設立された、筋力トレーニングとコンディショニング(身体機能の最適化)に関する国際的な専門団体です。スポーツ選手のパフォーマンス向上から、一般人の健康維持、さらには軍人や消防士などの戦術職の体力管理まで、多岐にわたる分野で活動しています。

NSCAの最大の特徴は、科学的根拠(エビデンス)に基づいた知識と実践を重視していることです。専門的な学術誌の発行や、資格試験、教育セミナーの開催などを通じて、トレーナーや指導者が常に最新のトレーニング理論と実践スキルを学べる環境を整えています。
●代表的な資格
NSCAが提供する資格の中でも、特に世界的に知られているのが以下の2つです。
1.CSCS(Certified Strength and Conditioning Specialist)
これは、アスリートの競技力向上を目的とした専門資格です。プロチームや大学のスポーツ現場などでも認知度が高く、トレーナーとしてキャリアを積む上での“ステータス”とも言える資格です。受験には大学卒業レベルの学歴が必要で、解剖学や運動生理学などの幅広い知識が求められます。試験は難易度が高く、合格率も低めですが、それだけに信頼性の高い資格とされています。
2.NSCA-CPT(Certified Personal Trainer)
こちらは、一般の人々を対象にパーソナルトレーニングを行う専門家のための資格です。高卒以上であれば受験可能で、フィットネスクラブやパーソナルジムなどで働くトレーナーにとっては、基本かつ重要な資格です。個人の目的に合わせたトレーニング指導や安全管理、栄養指導など、幅広い内容がカバーされています。
このほかにも、軍人や消防士向けの「TSAC-F」や、スポーツ科学に特化した「CPSS」といった専門資格も提供されています。
●日本での活動 ― NSCAジャパン
日本にも「NSCAジャパン」という公式支部があり、1991年に設立されました。日本語での試験実施や、国内向けセミナー・カンファレンスの開催、継続教育プログラムの提供などを行い、国内のトレーナー育成を支えています。

また、NSCAの資格を持っていることで、スポーツ現場やフィットネス業界における「専門性の証明」となり、就職やキャリアアップにも有利に働きます
●なぜNSCAが選ばれるのか?
NSCAの資格が高く評価されている理由は、単に国際的に有名だからではありません。最大の魅力は、「科学的根拠に基づいた信頼性の高い指導ができる」という点にあります。実際、現場の感覚や経験だけに頼らず、研究データや論文に裏打ちされた知識でクライアントにアプローチできることは、非常に大きな強みです。
●まとめ
NSCAは、トレーニング科学において世界をリードする団体であり、CSCSやNSCA-CPTといった資格は、トレーナーにとっての信頼と実力の証です。科学的な知識に基づいて安全かつ効果的な指導を行いたい人や、スポーツやフィットネス業界で活躍したい人にとって、NSCAの資格は非常に有用な選択肢と言えるでしょう。