ボディメイクと運動に関与するホルモン〜内分泌機構について〜

前回は、筋活動に必要なATPと、そのATPを再合成させるエネルギー機構について書きました。今回は、「運動強度と運動時間がどのエネルギー供給機構に関係してくるのか」や「ボディメイクに関わるホルモン〜内分泌機構〜」について書きたいと思います。生理学は、糖質制限の1つである「ケトジェニック」を実施する際にも、とても役立ちます。食べたものがどのようなメカニズムでエネルギーになっていくか理解してから実施することで、中途半端に糖質を制限するのは「ケトジェニック」にはならないことが分かり、減量成功への道が開けるでしょう。


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ボディメイクと運動に関わるホルモン〜内分泌機構について〜

前回は、筋活動に必要なATPと、そのATPを再合成させるエネルギー機構について書きました。今回は、「運動強度と運動時間がどのエネルギー供給機構に関係してくるのか」や「ボディメイクに関わるホルモン」について書きたいと思います。
生理学は、糖質制限の1つである「ケトジェニック」を実施する際にも、とても役立ちます。食べたものがどのようなメカニズムでエネルギーになっていくか理解してから実施することで、中途半端に糖質を制限するのは「ケトジェニック」にはならないことが分かり、減量成功への道が開けるでしょう。

●目次

#6 糖以外から糖が誕生「糖新生」
#7 運動強度と時間で使われるエネルギー供給機構を操る
#8 ホルモンって何?
#9 減量やボディメイクに関わるホルモン「インスリン」
#10 減量やボディメイクに関わるホルモン「グルカゴン」
#11 減量やボディメイクに関わるホルモン「成長ホルモン」
#12 減量やボディメイクに関わるホルモン「エストロゲン・プロゲステロン」
#13 減量やボディメイクに関わるホルモン「コルチゾール」
#14 減量やボディメイクに関わるホルモン「甲状腺ホルモン」

#6 糖以外から糖が誕生「糖新生」

前回記載した「酸化機構」について復習です。


・「酸化機構」は、安静時と有酸素性運動時にATPを供給する機構
・主に、炭水化物と脂質が利用される
・タンパク質は、長期の飢餓と90分以上の運動で利用される
・安静時には、約70%が脂質、30%が炭水化物からATPが供給される
・運動強度が上がるにつれ、炭水化物からの供給割合が多くなり、足りなくなれば、脂質やタンパク質が利用される


上記で分かるように、「酸化機構」では、炭水化物である糖以外からもATPが供給されます。


このように、糖以外の物質から糖を生成する経路のことを「糖新生」と言います。
糖新生は、長期の飢餓や90分以上の運動において、特に注意しなければなりません。
なぜならば、タンパク質の分解が始まってしまうからです。
せっかく鍛えた筋肉が減少してしまうのはとても悲しいですね。
筋肉の分解を最小限にするためには、食事のPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物のバランス)に気を配りながら、運動強度と運動時間の管理も必要となってきます。

#7 運動強度と時間で使われるエネルギー供給機構を操る

「ホスファゲン機構」「解糖系機構」「酸化機構」のどのエネルギー供給機構が使われるかは、第一に運動強度、第二に運動の継続時間によって決まります。

表の通り、

「ホスファゲン機構」は、高強度で短時間の運動、

「解糖系機構」は、中~高強度で短時間~中程度の時間の運動、

「酸化機構」は、低強度で長時間の運動においてATPを供給しています。


エネルギー供給機構の時間枠を把握しておくことで、トレーニング目的に沿ったトレーニングプランを立てることが可能になります。


例えば脂肪燃焼をしたい場合、

血中乳酸濃度を上昇させて成長ホルモンが分泌されるよう、「速い解糖」が利用されるように調整します。
30~60秒のインターバルで6秒~2分間のきついトレーニングを繰り返すと効率的であると考えられます。

#8 ホルモンって何?

ホルモンは、内分泌腺で作られている、身体の様々な働きを調整する化学物質です。


内分泌腺には、「甲状腺」「視床下部」「脳下垂体」「副腎」「膵臓」「性腺」などがあり、それぞれ異なる働きをするホルモンが作られています。


多くのホルモンが、細胞の成長や分解に影響を与えます。
「テストステロン」「成長ホルモン」「インスリン」のような同化ホルモンは、細胞の成長過程を促進する傾向にあります。
「コルチゾール」のような異化ホルモンは、細胞を分解する作用があります。
そして、これらは実施したエクササイズの影響を受けます。

#9 減量やボディメイクに関わるホルモン「インスリン」

「インスリン」は、膵臓のランゲルハンス島β細胞から分泌されるホルモンです。


主な働きは、血糖値を下げることです。


血中の糖分(グルコース)を身体細胞(筋肉や肝臓)へ運搬する作用を担うことで、血糖値が下がります。


また、アミノ酸を筋肉に運搬する作用もあります。
バルクアップをしたい場合には、糖質を多く摂取することで、インスリン分泌を促進させ、筋肉に栄養を送り込めばよいわけです。
ただ、余ったグルコースはグリコーゲンや中性脂肪に合成されますが、その合成を促進する働きもインスリンが担っています。


よって、糖質と脂肪を大量に同時摂取すると体脂肪が増えやすくなるので注意が必要です。

#10 減量やボディメイクに関わるホルモン「グルカゴン」

「グルカゴン」は、膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌されるホルモンです。


主な働きは、血糖値を上げることです。


肝臓で蓄えられた糖分(グリコーゲン)を血液中に放出する作用を担うことで、血糖値が上昇します。


また、肝臓のタンパク質、アミノ酸、ピルビン酸からの糖新生(筋の分解)も促進します。
ボディメイクでは筋の分解は最小限に抑えたいので、小まめに食事をすると良いです。

#11 減量やボディメイクに関わるホルモン「成長ホルモン」

「成長ホルモン」は、脳下垂体前葉から分泌されるホルモンです。


働きは下記のように沢山あります。
・タンパク質の合成を促進する
・脂肪の分解を促進する
・軟骨の成長を促進する
・免疫細胞機能を促進する
・コラーゲンの合成を促進する 

血中乳酸濃度の上昇を感知して分泌が促されるので、解糖系機構での運動に反応しやすいです。
また、22時~翌2時の時間帯で分泌されるため、早めの就寝が体脂肪減少や疲労回復のカギになります。

#12 減量やボディメイクに関わるホルモン「エストロゲン・プロゲステロン」

「エストロゲン・プロゲステロン」は、脳下垂体から分泌されるホルモンが卵巣を刺激して分泌されます。


分泌サイクルは、大きく分けて4つあります。
①月経期 エストロゲン・プロゲステロン共に一定
②卵胞期 エストロゲンの分泌量が増加
③排卵期 プロゲステロンの分泌量が増加
④黄体期 エストロゲンの分泌量が低下


エストロゲンには、脂肪燃焼を促進する働きがあるため、減量が期待できるのは、②の卵胞期(生理終了~排卵前)になります。


一方、④の黄体期(排卵後~次の生理)は、むくみにより一時的に体重計の数値が高くなることがあります。

#13 減量やボディメイクに関わるホルモン「コルチゾール」

「コルチゾール」は、副腎皮質から分泌されるホルモンです。


ストレスを感じた時に分泌が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれています。


働きは下記のようなものが挙げられます。
・アミノ酸を糖質へ変換する刺激
・タンパク質の分解を促進する
・タンパク質の合成を抑制する
・脂肪の利用を促進する


コルチゾールは中強度から高強度の運動で増加し、運動時間が長すぎると分泌が多くなります。
せっかくの筋肉を減らさないよう、運動時間は1時間程度にするか、途中で栄養補給をするようにしましょう。
また、就寝中はコルチゾールの分泌が増えるため、朝食をきちんと食べると良いです。

#14 減量やボディメイクに関わるホルモン「甲状腺ホルモン」

「甲状腺ホルモン」は、甲状腺から分泌されるホルモンです。


主な働きは、全身の細胞に作用し、細胞の代謝率を上昇させます。

いかがでしたでしょうか。
何気なくやっていた運動ですが、私たち人間の体の中ではこんな反応が起きているのですね。
また、ホルモンの働きに合わせた食事方法や運動方法を取ることで、ボディメイクや減量の成果が格段に上がると思いますので、少し興味を持っていただけたならば幸いです。

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記事の担当者:清水優美恵

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