コラムを書いた人
佐藤翔
トレーナーズラボ第10期生の佐藤翔です。
前回は体の中でどのように食材や栄養がエネルギーとして利用されていくのかをその種類について述べていきました。パーソナルトレーナーにとってその仕組みを理解することが指導する上でも大事であるとしたわけですが、今回は最近主流になりつつあるケトジェニックダイエットにも話を絡めながら話ていきたいと思います。
目次
#1 .ケトジェニックダイエットとは
#2 .糖新生
#3 .ホルモンとは
#4 .ボディメイクに深くかかわるホルモン
①成長ホルモン
②テストステロン
③コルチゾール
④インスリン
⑤グルカゴン
⑥エストロゲン・プロゲステロン
#5 .まとめ
ケトジェニックダイエットを簡単に説明すると食事で脂質を多くとり、炭水化物を少なく摂取するダイエットのことです。
人の体は口から食べ物を摂取して食道を通り胃や小腸で分解されて主に小腸で吸収されていく仕組みはなんとなく聞いたことがあるかと思います。その吸収されたものが各内臓や筋肉に行きわたってエネルギーとして活用されていくのですが、人間のエネルギーとして消費する順番が炭水化物→脂質→タンパク質の順でエネルギーとして消費されます。
よって普段体の中で炭水化物(糖)をエネルギーとして利用していますが、
このケトジェニックダイエットとはエネルギー源を脂質として利用し体脂肪燃焼を促進させていくダイエットとなります。
要するに体の中の糖を枯渇させて脂質をエネルギーに変換させていきます。この状態をケトーシス状態といいます。
脂質をエネルギーにするといっても脂質からすぐにエネルギーに変換されるわけではありません。
そのメカニズムについて次章で説明していきます。
実は、人間の体はよくできていて炭水化物(糖)を直接取らなくても脂質や筋肉(タンパク質)から炭水化物(糖)を作ることができるのです。
この仕組みを≪糖新生≫といいます。
この糖新生は、
・長期の飢餓状態
・90分以上の運動
で発生が促進されます。
ケトジェニックダイエットではこの状態を常に維持しているイメージとなります。なので脂質をエネルギーにしているから脂肪燃焼が速いのです。
しかし、注意しなければならないのは脂質がエネルギーとして利用できなくなると筋肉からエネルギーを消費していきます。そうするとせっかくトレーニングで鍛えた筋肉が減少することになりますので、タンパク質の摂取が必須になってきます。
また、糖新生はとあるホルモンの影響によっても起こります。
そちらのご紹介をしていきます。
ホルモンとは体の健康維持のため様々な機能を調整する化学物質のことです。
どこで作られているかというと全身至るところで作られています。
元々は、内分泌腺という特殊な細胞でホルモンが作られ、血液中を流れて遠く離れた標的となる細胞に到達して、そこで働くと考えていました。現在では作られた場所のすぐ隣にある細胞または作られた細胞そのものに働くことも分かっています。
例を挙げると消化、呼吸、代謝、循環、免疫などの働きに機能しています。
現在、体の中には100種類以上のホルモンが見つかっていますが、
今回はその中でもボディメイクという観点で知っておきたいホルモンをご紹介していきます!
①成長ホルモン
体にある物質をエネルギーとして使えるような物質に変えていく働きをもつホルモンです。
血中の乳酸濃度が上がると脳下垂体と呼ばれる場所から分泌され、脂肪燃焼を促進させてくれる働きがあります。
乳酸濃度を上げるには無酸素運動が効果的ですので、筋トレを積極的に行うといいです!
また、成長ホルモンの分泌は22:00~2:00の間によく分泌されていきますので、睡眠時間を意識するのもいいでしょう。
成長ホルモンにはその他にも
・タンパク質合成の促進
・コラーゲン合成の促進
・軟骨の成長促進
・免疫細胞の機能促進
の働きがあります!
②テストステロン
筋トレ好きにはよく耳にするホルモンだと思いますが、主に骨格筋の合成に働く、男性ホルモンです。
男性は精巣から女性は副腎や卵巣から分泌されます。
分泌するにはテストステロンの原料のコレステロールを摂取する必要があります。
また、運動、十分な睡眠、規則正しい生活リズム、ストレスをためないなどが大切になってきます。
③コルチゾール
コルチゾールはタンパク質の分解酵素を増やし、筋分解に働くホルモンです。
ストレスがたまると急激に分泌が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれます。
コルチゾールが分泌されるのはストレスから身を守ろうとして起きる現象です。
一時的な増加は問題ないのですが、長期にストレスを受けると非常に危険です。
有酸素運動などはコルチゾールの分泌を整えるのに効果的です。
適度に運動してストレスをためこまないようにしましょう!
④インスリン
インスリンは唯一血糖値を下げて、安定させる働きを持つホルモンです。
膵臓のランゲルハンス島B細胞から分泌されており、
筋の合成にも強く働くホルモンでもあります。
糖質を摂取して上がった血糖値を下げようとインスリンが働き筋肉等に分けられていき合成されていくのですが、筋肉の合成のみに限らず、中性脂肪の合成の役割もあるため、摂り過ぎは要注意が必要です。
⑤グルカゴン
インスリンとは逆に血糖値を上げ、安定させる働きを持つホルモンです。
肝臓のランゲルハンス島のA細胞から分泌されます。
グルカゴンは筋肉の分解をしてしまう働きがあるので、
ボディメイクの観点からするとずっとこのホルモンが出続けるのは阻止する必要があります。
その為、血糖値が下がらないように間食を取るなど、
こまめな食事が大事になってきます。
⑥エストロゲン・プロゲステロン
エストロゲンとプロゲステロンは女性ホルモンになります。
女性ホルモンは妊娠・出産の機能、そのための身体作りを誘発するという働きを持つホルモンです。
女性ホルモンは卵巣から分泌され、
エストロゲンは妊娠の準備、女性の美と健康を支えるといった働きを持っています。
エストロゲンの分泌が多くなると、
・瘦せやすくなる
・気分が明るくなる
・活動的になる
・性欲が高まる
といった体と心の変化が起こります。
プロゲステロンは妊娠の維持をする働きを持っています。
プロゲステロンの分泌が多くなると、
・むくみやすくなる
・便秘になりやすい
・気分が不安定になる
・食欲旺盛になる
といった体と心の変化が起こります。
これだけ聞くとエストロゲンだけあればいいなと思うかもしれませんね。
しかし、エストロゲンが増えすぎると子宮がんや乳がんのリスクが高まってしまうのです。
このリスクを減らすためにプロゲステロンがいるので、
両方のバランスが非常に大切なのです!
ボディメイク中はプロゲステロンの分泌が多くなる生理前にはむくみにより体重計の数値が高くなりやすいのです。
しかし、エストロゲンの分泌が多くなる生理後には体脂肪が燃焼しやすいので体重計の数値が落ちやすくなります!
生理前は気分がより落ちやすいですが、それを乗り越えれば数値に変化も出るので少し辛抱しなければならない場面が多くなります。
生理学を理解することで、ダイエットにおけるなぜ体重が変わらないのか、一生懸命食事制限しているのに体重が落ちないといった疑問を解決へと導けるのです!
お客様の目的や目標は様々ありますし、同様に疑問も様々にあると思います。ですので、我々トレーナーがしっかりと生理学を理解し、すべてに対応できるようにご案内するためにも絶対に必要な知識であると感じました。
また、引き続き深いとこまで理解できるように学んでいこうと思います!
今回の記事は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
パーソナルトレーナーになるべくトレーナースクールに通学し勉強中の佐藤翔でした。
次回の記事もよろしくお願いいたします。